舌痛症
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炎症や原因となるような疾患が特に認められないが、舌にヒリヒリした痛みを感じる。
40-50歳代の女性に多くみられる。食事中や何かに熱中している時には痛みを感じない場合が多いのが特徴。
舌痛症に関しては
いろいろな定義ずけがあるが、ここでは、下記されているような、身体的病変(アフタ、地図状舌、扁平苔癬などの器質的病変)を除いたものについて、取り扱う。
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「狭義の舌痛症診断基準 (慶応大学 医学部 :1989年)」
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1.舌に表在性の疼痛あるいは、異常感(ヒリヒリ、ビリビリ、チリチリ、ザラザラ、シビレル)
を訴えるがそれに見合うだけの局所あるいは全身性の病変(鉄欠乏性貧血、VB12欠乏、
糖尿病、口腔乾燥症などによる器質的変化がない)が認められない。
2.疼痛あるいは、異常感は、摂取時に軽減ないし消失し増悪しない。
3.経過中に以下かの3症状のうち少なくとも1症状を伴う。
A:.癌恐怖
B: 正常舌組織を異常であると意味付けて訴える。
C:舌痛症状を歯あるいは保存補綴物などと関連ずけて訴える。
4.うつ病、精神分裂病など内因性精神障害の経過中に出現したものではない。
口腔内の器質的、機能的障害、補綴的障害の存在がある場合は、
必ず、歯科的治療(保存、補綴、外科的治療)を行う必要がある。
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(漢方薬)
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一般的には、向精神薬、鎮痛剤などの薬物療法が行われる。
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漢方薬では
舌痛症の場合舌の痛みばかりではなく、自律神経失調症を伴っているケースが多いので、
柴胡加竜骨牡蛎湯、加味逍遙散、四逆散、小柴胡湯、柴朴湯、半夏瀉心湯が用いられている。
腎虚症には
六味丸、八味地黄丸などが用いられている。
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舌診で
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舌側縁部が痛む場合は
肝胆が病んでいることであり肝気うっ血の病態に近い。
肝気うっ血に対する漢方の基本方剤としては
四逆散、加味逍遙散を用いられている。
舌尖部が痛む場合は
心と小腸が病んでいることであり心熱をとる清心蓮子飲、酸棗仁湯を用いると効果を上げるケースがある。
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四逆散
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処方: 柴胡 5.0 芍薬 4.0 枳実2.0 甘草1.5
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